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短編小説 聖夜の星

今思うと、まともに親孝行してやれなかった気がする。
面と向かって「ありがとう」なんて言ったことが無かったかもしれない。
今になって後悔した。
1度だけでも「ありがとう」って言ってやれば良かった。
なぁ、今からじゃ、遅いかな・・・


12月20日
御袋が無くなった。
屋根で雪掻きをしていて転倒・転落した。その際に頭を強く打ち、搬送先の病院で死亡した。
静まり返った霊安室で冷たい御袋の手を握って泣き続けた。

幼い頃、俺が泣く度に御袋は俺を優しく抱きしめながら、いつも同じ事を言う。
『私が側にいるから、だから泣かないで』
母子家庭で育った俺にとって、御袋は偉大な存在だった。
そんな御袋が急に俺の側から離れて行った。
「俺がやってれば・・・お袋は・・・」
後悔だけが俺の周りに漂った。

家に帰ったが、無音で寒い部屋がさらに俺の気持ちを暗くさせる。
御袋が作った手料理を食べながら、ふと夜空を見た。
その時、赤く瞬く星を見つけた。
他の星よりも光り輝くそれに、俺は魅入ってしまった。
冬の夜空を照らし、夜道を導く道標。
今まで気に留めもしなかったはずなのに、その明かりを愛おしい者と照らし合わされた。


12月25日 クリスマス
友達を家に招き、数日前まで暗かった部屋を明るくした。
御袋に、俺は大丈夫だよって知らせる為にも・・・。
けど、無理をしている俺の事なんかお見通しだよな。

聖夜を照らす星々の中に赤く瞬く星があった。
『ありがとう御袋。もう泣かねぇけど、俺の側にいてくれよ』
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Author:結羽
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