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春風の欠片

3月の朝はまだ少し肌寒い。
桜の蕾ももう少し暖かくなる時を待っている。




今日は高校生活の最後の日、つまり「卒業式」の日である。
今、思い返してみると3年間はあっという間だと思う。
2年前の春に新品の制服を身に纏い、満開の桜道を歩き、全てが新しい気持ちで始まったこの高校生活。
2年生の夏から、進路について悩みに悩んだあの時期も良い思い出の1つである。


春風に包み込まれた教室で、担任の先生から「10年後にココ(母校)でまた逢おう。それまでみんな元気で頑張れよ」
副担任の先生から「自分を信じて、未来が明るい事を願っています」
と、生徒全員に言葉をかけた。

そして、今日は終わった。
通い慣れた学校に背を向けて、私たち卒業生は大きな1歩を踏み出した。





あれから10年の長い月日が経った。
母校にまた春の朝がやって来て、桜の季節もやって来た。


約束通りクラスに集まった卒業生たち。
集まった私たち、卒業生たちに、担任だった先生がある提案をした。
『みんなでパズルをしよう』と。



太陽の日差しが高い位置から降り注ぐようになった。
パズルを始め、順調にパズルは完成へと近づいていった。
しかし、残り十数ピースという所でピースが足りない事に気付いた。
「先生、ピースが足りないよ」と女子生徒が言った。
担任だった先生はその言葉を待っていた。

そして・・・


「じゃあ、皆で残りのピースを探そう!!」
春の日差しに負けないくらいの明るい笑顔で先生は言った。

「ヒントが書いてあるカードを学校の至る所に隠してあるから、それらを利用して残りの12ピースを見つけ出そう」


そして、ピース探しは始まった。
ヒントカードは15枚あり、机の中やロッカーの裏、バスケットゴールに貼られていたり、職員室にいる先生の財布の中に入っていたり・・・本当にいろんな所にあった。
ヒントの内容も場所を示したヒントや、常識問題の答え、ミニゲームの結果といろんなパターンがあった。



日が暮れ始め、夕日が差し込める美術室で最後のヒントカードを見つけた。
そこには「約束の場所」としか書いてなかった。
ヒント通りに動いてきた卒業生たちの足がピタリと止まった。
残り1ピース。ヒントカードには「約束の場所」
これを見て私は言った。

「まだ、教室を探していないよ」と。

私の言葉を聞いて、みんなは笑顔で教室へと走って行った。
最初のヒントから最後のヒントに来るまで一切入らなかった教室。
「約束の場所」と言うのは、今日の日を約束した場所のことだった。



教室を探してすぐ、教卓の中にあった最後のピースを見つけた。
これで全部のピースが集まり、パズルが完成した。
完成したパズルは、満開の桜のパズルだった。
そのパズルに手書きで言葉が書いてあった。
「疲れたら休め、休んだら進め、進めばやがてはゴールに着く」、これは担任だった先生からだった。
「私はいつでも皆の側にいます。いつでも、どんな時でも相談に乗ります。皆は一人じゃないよ」、副担任だった先生も書いてくれていた。


夕日は沈み、夜空へとなっていく空。
完成したパズルと一緒に最後にみんなで写真を撮った。
高校生の時から10年経った今日までのいろんな話も話した。
春の夜はまだ少しヒンヤリと寒い。
でも、春風は私たちの周りを暖かい風で包み込んでくれた。
10年ぶりに感じた安心感。
「一人じゃない。皆がいるからどんな苦難でも乗り越えていける」

「一寸先は闇」と言うことわざがあるけれど、今の私には、その闇も少し明るく感じた。
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