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星の砂∼十字架のスプレッド∼

2人の少女が出逢った時、新たな始まりが訪れる・・・。

『星の砂∼十字架のスプレッド∼』

夜空を見上げて月に、星に手を伸ばしても手に入らない。
それは分かっている。

「フィニ、お前は街の何が嫌いなんだ?」
今は亡き父が私によく聞いたこと。
母も、私が生まれてすぐに亡くなった。

街から少し離れた森で私[フィニ]は、今も1人で暮らしている。

『人が多いし、ここみたいに自由にゆっくりと静かに暮らせないから嫌い』

こう言っても本当に街が嫌いなのかは分からない。
この国の城[ルスター城]と繋がっている街は1つの家みたいになっていて、街で暮らしている人々が1つの家族のように仲が良い。
争いを知らない静かで穏やかな街だ。

別に街に行きたくない訳では無い。
服や狩りに必要な道具は街で買っている。

でも、暮らすとなったら話しは別だ。



そう、彼女は外の世界しか知らない。



最近、似たような夢を見る。
私と同い年くらいの女の子が『外は楽しい?』とか『外の人と会って話してみたい』とか・・・



数日後
街に買い物に行ってみるといつもより賑わっていた。
武器屋のおじさんに話しを聞いてみた所、4年に1度の[星夜祭]が週末に行われるらしい。

『行ってみようかな・・・』





夜空を見ても月に、星に手が届く事はない。
それは分かっている。


「ソフィア様、もうお休みになって下さい。いくら月明りで部屋が明るくても、もう晩いのですから」

『そうね。お休みなさい、ユラ』

ユラはお世話役の人で、唯一の親友。

「お休みなさい、ソフィア様」

『2人の時は敬語は止めて、ユラ』

「はいはい。お休み、ソフィア。良い夢を・・・」



最近、似たような夢を見る。
私と同い年くらいの女の子が『星夜祭は楽しいの?』とか『何で街に暮らすの?』とか・・・



『もう少しで[星夜祭]か。楽しみね、ユラ』

朝日に負けないくらいの笑顔でソフィア様は笑った。
その時、私はホッとした。
奥様は、ソフィア様が5歳の時に病で亡くなった。
旦那様は仕事の関係であまりソフィア様と一緒に居られない。
寂しいはずなのに、ソフィア様はわがままを言わずに笑顔で過ごしている。

「そうですね。やっと街に出られますね」



そう、彼女は外の世界を知らない。





星夜祭前日
ソフィア様は悩まれていた。

「どうしたのですか?ソフィア様」

ソフィア様は[ルスター城]の庭園にあるテーブルに腕を付いて悩まれていた。

『ユラ、街は普段どういう所なの?星夜祭の街しか知らないから・・・』

私は初めてソフィア様の胸に秘めた想いを知った。
私もソフィア様の隣に座り、テーブルに腕を付けて口を開いた。

「ソフィア様も普段の時でも街に出たいのですか?」

ソフィア様は悩みながらも『うん』と答えた。

「ならば、ソフィア様に1つアドバイスです」




星夜祭当日
[星]をテーマに街中が飾られていた。

私は最初に武器屋を訪れた。
いつもは狩りに必要なソード(刀)やランス(槍)、一般の人でも使えるナイフ(小刀)などを売っているが、今日は貝殻や牙、骨などで作られたアクセサリーなどを展示していた。
私に気付いたおじさんは驚きの表情を隠せずにいた。
私は祭りの時に街に行った事がない。

しばらくおじさんと話し、他の店に行こうとした時・・・。

「これやるよ」と言い、非売品[星の砂]の小瓶を2個貰った。





一方、[ルスター城]の広場では、一般開放され、屋台が出て賑わっていた。

『ユラ、どこから行く?』

昨日の悩みは無事に晴れ、いつもの明るく、元気なソフィア様に戻った。

「申し訳ありません、ソフィア様。まだ少し仕事が残っているので。私の分まで楽しんで来て下さいね」

ソフィア様は一気に不安になっただろう。

『そう・・・。分かった。行ってきます』

そう言ったものの、ユラのいない街はやっぱり不安だった。

私は[ルスター城]の広場にあるベンチに座り、夜空を見上げ、溜め息をついた。



「あの・・・、隣に座っても良いですか?」

若い女の子の声に驚き、私は声のした方を見た。
私の目の前にいた子はよく夢に出てきた子だった。


『あなたは夢の・・・』




この時、運命の歯車が動き出した。


フィニは普段の街の話しを、ソフィアは祭りの時の街の話しを語り合い、自然と意気投合した。


2人の心に新たな想いが芽生え始めた時、星夜祭の終わりを告げる鐘が街中に鳴り響いた。
暁の空の下、新たな思いを胸に残し、2人は別れた。
この日の朝はお互い清々しい朝になった。



『ユラ、お友達が出来たの!!ユラのアドバイス通り大切にする!』
ソフィア様の想いがやっと叶った。
私の不安も綺麗に晴れた。
アドバイスとは、私が星夜祭前日にソフィア様に言った事だった。

「大丈夫ですよ。きっとソフィア様の想いを共感してくれる人と巡り逢えると思いますよ。もし、出逢えたならその人を大切になさって下さい。きっとその人もソフィア様を大切にしてくれると思いますので」と。

『あと、フィニちゃんからお揃いの[星の砂]を貰ったの!』

滅多に得る事の出来ない貴重な[星の砂]、フィニちゃんと私しか持っていない大切な宝物。





亡き父が私によく聞いたこと。
あの話には続きがある。

「お前は優しい。悩んでいる人を見ると放っておけない。そんなお前だからこそ、俺は街で生活してもらいたいんだ」

私の性格をよく知っている父だからこその言葉。

『父さん、星夜祭に行って来たの。そうしたらソフィアちゃんって子に逢って友達になったんだ。父さんの言う通り、ずっとその子といろんな事を話したよ』

[星の砂]を握りしめ、父の墓の前に膝を着いた。




星夜祭から数日後
初めて普段の街に行った時、フィニと逢う事が出来た。

『いらっしゃい、ソフィアちゃん』

『いらっしゃい』と言われて驚いたが、話しを聞くと『武器屋のおじさんの所で暮らす事にしたの』とフィニちゃんは笑顔で答えてくれた。




そう、彼女達の夢は現実となった。
でも、彼女達の全ては始まったばかり・・・






読んで下さってありがとうございます。
これは、水/樹/奈/々さんの『十/字/架/の/ス/プ/レ/ッ/ド』を聞き、思い付いた作品です。
この曲を知らない方は、曲を聴きながら、もしくは1度聴いてからもう1度読んでみて下さい。
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