1月小説 道標∼導きの光∼


雪道は視界が悪い。
辺りを見渡しても真っ白で、人気の無い場所ならなおさら・・・。


「おばあちゃん、薬草を採ってくるね」
防寒着を着て、薬草を入れる籠を持ち、私は家を出た。

外は晴天、絶好の採取日和!

私は薬草の採れる森へと足を進めた。
順調に進み、薬草のある所まで無事に辿り着いた。
いつものように薬草を積み、持って来た籠に入れていく。
何も変わらない、いつもの作業。

でも、今日の森は鳥が1羽も鳴かない。風で木々も揺れない。怖い位に静かすぎる・・・。
怖くなった私はすぐに森を抜けようと雪道を下った。

今まで感じた事のない緊張感。恐怖や寂しさ。
泣き出しそうになる気持ちを抑えながら森を下り続けた。

辺りが薄暗くなってきた。
いつもならもう森を抜けてもおかしくないのに森から抜け出せていない現状。
辺りを見渡しても雪と木々しか見えない。
小屋も無ければ街の明かりも見えてこない。

「このまま、帰れないのかな」
そう思ってしゃがみ込んだ私の周りで今まで感じなかった風の香りを感じた。
ふっと顔を上げ、辺りを見た。
そこには小さな光の粒が木々の周りでフワフワと揺れ動いていた。
「ホタル?」
でも、水辺の無い、しかも寒い森の中にホタルがいるのだろうか・・・。
小さな光の粒が街のある方へと道案内をするようにゆっくりと進んで行く。
私も、その光の粒を追い掛けて進んで行く。


進んで行くと街ではなく、小さな湖にたどり着いた。
「ここは・・・、どこ?」

私をここまで案内してくれた光の粒達は湖へと消えていった。
「あの光は・・・」
「誰?」
背後から声がした。
振り向くと女の子が白と黄色の水仙を持って立っていた。

「私は飛珱 鈴(ヒエイ スズ)と言います。迷ってしまって、出口を探しているんです」
「そう・・・。ならば来て、案内するわ」


不思議な子。
この湖で何をしていたんだろう・・・。
「そう言えば、あなたの名前は?」
「『水仙』と皆からは言われている」
「本当の名前は?」
「・・・言えぬ」

何か事情があるのだろう。


「この道を行けば森から出られる。私が来れるのはここまで」
「ありがとう。助かりました」
街の明かりが見え、すごく安心した。


初めてこの子に逢った時は少し怖かったけど、今は何だか懐かしい感じがする。

「また、この森に来てくれる?」
寂しそうに私を見つめる瞳。
「この森にはあまり人は来ない。だから私はいつも一人。一人で静かにこの森にいる」
「この森から出ちゃ駄目なの?」
「ええ。私がこの森から出てしまったら、この森は枯れて無くなってしまう」
「この森の守り神なの?」
「ええ」

何だか可哀そう。
でも、私が代わってあげる事は出来ない。
私が出来ることは・・・。

「また、この森に来て良い?私で良ければ話し相手になってあげる」
「本当に?ならば、本当の名前を教えよう。我が名は『睦月』」
「『睦月』か・・・。可愛い名前だね」

やっぱり懐かしい気がする。

「さぁ、そろそろお帰り」
「うん。またね『睦月』」

私は振り返ることなく森を抜けた。


「大きくなったわね、鈴」



今日の出来事は本当に何だったのだろう・・・。
「ただいま、おばあちゃん」
「お帰り、鈴。遅かったね」

おばあちゃんに今日の事を話すと、おばあちゃんも今の私くらいの時に逢った事があると言い、その時の事を話してくれた。



私はとても不思議な体験をした。
『水仙』と皆からは呼ばれている『睦月』と言う女の子と出逢った。
結局、なぜ森で迷ったのだろう。
そして、冬の雪道を照らしてくれていたあの光の粒も謎のまま。





2012年は毎月、その月の『誕生花』『誕生石』などをモデルに小説を作ろうと思っています。
1月はこれです↑↑
今、この小説の番外編を制作中です。

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