短編小説 真紅の華

私は椿が好きだった。
見た目が綺麗だし、香りも良い。
なにより、冬の寒さに耐えながら、赤く可憐に咲いている姿に勇気と元気を分けてもらえている気がするから。

でも、あの時の椿は嫌いだった。




あれは、10年前の冬のこと。
私には7つ歳の離れた姉がいる。
姉様は体が弱く、主治医の先生からもあまり長くはないと言われている。

それでも姉様は私の手を握り「大丈夫よ。私はまだ大丈夫よ」と優しい声で言ってくれた。

私は姉様が大好きだった。
いつも優しい姉様。

私が悩んでいる時も「大丈夫よ玲。貴女は私の妹なのだから。きっと大丈夫よ」
そう言って、いつも励ましてくれた。

そんな姉様が大好きだった。


庭に咲いている椿が冬の終わりを告げるかのように1つ、また1つ花を落としていく。
姉様の病態も少しずつ悪化していき、体は痩せ細り、衰退していった。
当時15歳だった私には耐え難い悲しみだったはず。
今、思い返してみても悔しさが込み上げて来る。



数日後の朝
大好きだった姉様が静かに深い眠りについた。
長かった冬の終わりを告げるかのように小鳥が鳴いた。
姉様の死を悼むように・・・。
庭に咲いていた最後の椿が花を落とした。
姉様の死を示すかのように・・・。




10年後の現在

生前に姉様から貰った椿の髪飾りを着け、私は朝食の仕度をしています。
当時は髪が短く、姉様に髪飾りを着けた姿を見せる事が出来なかったですね。
姉様が亡くなってからは髪を伸ばすようになり、今は腰の辺りまで伸びました。

「母様、おはようございます」
今、私には歳の近い旦那様と5才の子がいて、3人で暮らしています。
「おはよう、春彦。お父様がまだ起きていないから起こしてきて」
「はい、母様」

姉様、観ていますか?
私は元気に生活しています。
家族も出来ました。
とても幸せです。
だから、心配せずにお休み下さい。
私が逝く時まで、どうか安らかに・・・






最後まで読んでくださり、ありがとうございます!!
本当は昨日に更新したかったのに・・・まぁ良いか。

この小説は、江戸や明治時代をイメージして作りました。
姉の死と椿の散る時の表現が少し気に入っています。
旦那が登場していないですが、無事に出来上がりました。


あしたは『立春』
暦の上では春なのですが、寒過ぎる日が続いています。
風邪を引かないように気を付けて下さいね!!(私は治りました)

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