AQUA 第1話 この手からこぼれたモノ

やっと出来ました!!3月小説でーす♪




『さぁマスター、願いを』


この手からこぼれたモノ


「危ない!!」



あれ?
どうしちゃったのかな?
体が動かない・・・。
まさか、死んじゃったの?
嫌だ!
僕はまだ、死にたくない・・・



気が付くと僕は草むらにいた。
ここが天国なのかな?

水と自然に溢れた綺麗な場所。
水の音、花の香り、鳥の鳴き声。
しっかりと感覚がある。


・・・ガサガサガサ
「やっと逢えた!!私のマスター!」
「わぁ!!!」
草むらから勢い良く女の子が出て来て僕に抱き付いた。
「も、申し訳ありません。あまりの嬉しさに・・・」
「だ、大丈夫だけど、君は?」


この子との出逢いで運命が大きく変わる・・・



僕は、弥生。小学4年生。
学校に登校していたのに、気付いたらここにいた。

彼女の名前はアスク。
水上都市『アクア』の住人で、ある目的の為に僕がここに来たらしい・・・
「目的って何?」
「マスターの願いを叶えることです」
「えっ、それだけ!?」
僕は彼女の言葉に答えた為、ここにいるらしい。

「アスク、じゃあ僕は死んでないんだね」
「はい。マスターが『まだ死にたくない』と願いましたので」

良かった。少し安心した。
僕はまだ生きているんだ・・・。


「でも、どうすれば元の世界に戻れるの?すぐに戻らないとみんなが心配しちゃう」
「安心して下さい。私が3回マスターの願いを叶えれば元の世界に帰れます。しかし、マスターをこちらにお呼びするのに既に1回力を使ってしまいましたので、あと2回しか願いを叶える事が出来ません。あと、マスターの世界の時間は今は止まっています。なので、急がなくても大丈夫ですよ」
「そうなんだ。良かった」



「では、『アクア』へ行きましょう。マスター」
アスクは立ち上がり僕に手を伸ばした。
僕はアスクの手を取り、立ち上がった。
ここ『誓約の泉』から『アクア』までは約半日。
「マスター、これを」
お守りにと言って渡されたのはアクアマリンのペンダント。
アクアにしかない貴重な物らしい。
「ありがとう、アスク」



誓約の泉を出発してから半日、そろそろアクアに着いても良いはずなのに・・・。


「どうしよう。迷ったかも」
「えっ!!」
辺りを見ても町の灯り1つ見えない。
「アスク、どうやって誓約の泉に辿り着いたのか思い出してみて。アスクが頼りなんだから」
「私はマスターの力を辿って・・・」

はぁ。どうしよう・・・
「そうだ。アスク、僕をアクアへ連れて行って!お願い!!」
使い方が正しいかどうかは分からないけど・・・。
アスクも町に帰れないのは困るはず。
でも、アスクが力を使えるのは3回だけ。もっと大切に使わないとだけど・・・。
「分かりました。マスターの願い、ちゃんと叶えます」
アスクは優しく微笑んだ。

「では、マスター。手を・・・」
僕はアスクが差し出した両手を掴んだ。
不安だけど、アスクを信じよう。
目を閉じ、強く願った。
きっと大丈夫・・・


「マスター。目を開けて下さい。マスターの願い通り、無事にアクアに着きました」
ゆっくり目を開けると水上都市『アクア』に着いていた。

「わぁ、綺麗」
水上都市と言われているだけあって、いろんな所から水が流れている。
水の上に家が建てられていて、道も水路みたいになっていた。


アクアに着いてすぐ、アスクは1人のおばあさんの元へと走って行った。

「大祖母様!ただ今帰りました!!」
アスクは満面の笑みでおばあさんに抱き着いた。
「お帰り、アスク。迷わずに行けたかい?」
「・・・えへへ♪」
「まぁ良いさ。無事に帰って来たのだから。さぁ、家へ帰ろうか。貴方も疲れただろう。しばらく泊っていきなさいな」

アスクのおばあさん『アリザ』様。アクアの治安を守る大巫女として暮らしている凄い人。

アスクから貰ったペンダントもアリザ様から作り方を教わって作った物らしい。



アスクとアリザ様の家はアクアの一番奥にある。



「お休みなさい、マスター」
「お休み、アスク」



寝れない・・・。
慣れない場所だからか全く寝れそうにない。

外の空気を吸いに中庭へ行くとアリザ様がいた。

「あら、眠れないのかい?」
「はい。慣れない場所だからか落ち着かなくて」
そう言ってアリザ様の隣に座った。

そして、アリザ様は僕に真実を教えてくれた・・・


まず、アリザ様とアスクは血が繋がっていないこと
そして、アクアの人々には『永遠の命』が与えられていること。

「永遠の命?」
「私達アクアの民は年をとる事も、身体が成長する事も無い。だから永遠の命と呼ばれている。アスクは、その永遠の命が嫌いでね。永遠の命を終わらせる方法を今試しているの」


水の音だけが聞こえてくる。
静か過ぎる夜が逆に僕を焦らせる。
思い当たる事があるから。

「アリザ様、アスクが僕の願いを3回叶えたら、どうなるのですか?」

「全ての願いを叶えたら、マスター(弥生)は元の世界に戻る。でも、誓約者(アスク)は完全に消滅してしまう」

完全に消滅!!
どんな事をしても元に戻らない。
僕には重すぎる言葉だった。
僕と同い年くらいの女の子がそれ程の覚悟の中で生活していたのだから・・・

どうすれば・・・

「今から誓約を取り消す事は出来ない。でも、1つだけ・・・」



最後の願い。
アスクを消滅させない方法。

「きっと、大丈夫。きっと」


アクアに来てから数日後の朝。僕にも1つの覚悟が出来た。

「アスク、最後のお願いを聞いてほしいんだ。今日の夕方に中庭に来て」

手紙を残し、僕は街に出かけた。



夕方になり、僕はアリザ様と一緒にアスクが待つ中庭へ行った。

「お待たせ、アスク」
アスクは少し元気がなかった。
きっと、今日で全てが終わる事が怖いのだろう。

「アリザ様から聞いたよ。アクアのこと、アスクのことも」

「ごめんなさい、マスター。マスターは関係ないのに・・・。私のワガママで・・・」
涙を堪えながらアスクは僕に何度も謝った。



「マスター。もう、帰ってしまうのですね」
アスクは寂しい顔をした。

「アスクやアリザ様と一緒にいれて凄く楽しかったよ。ありがとう」

アスクの両手を掴み、ニコッと笑った。

「マスター、最後のお願いは何ですか?」
「それは、秘密。でも、すぐに分かるよ」


「・・・分かりました。マスター、目を閉じて、心の中で願いを唱えて下さい」

アスクの指示通りに目を閉じ、心の中で願い事を唱えた。

「マスター、目を開けて下さい」

ゆっくり目を開くと体が少しずつ薄くなっている。
これでお別れ。


「マスター!!私、マスターのこと、忘れません。私のマスターは弥生だけ!」
アスクは泣きながら初めて『弥生』と呼んでくれた。

「ありがとう、アスク。僕も忘れない。アスクのことも、アリザ様のことも、アクアで過ごした日々も。絶対に忘れない」




「大丈夫、弥生くん!」
「怪我してないか?」

ゆっくり目を開けると、小学校の前で先生の車とぶつかりそうになっていた。
「大丈夫だよ、先生」


その後、学校で授業を受け、給食を食べ、校庭で遊び・・・。
普通に1日を楽しく過ごした。

放課後になって、家に帰り、自分の部屋に行った。

「あれ?」
見慣れないペンダントが机に上に・・・。
母さんのかな?

「ただいま」
大荷物を持って母さんが帰ってきた。
僕は母さんにこのペンダントの事を聞いてみた。
でも、母さんのではなかった。

何か大切の事を忘れている気がする・・・。

「弥生、晩ご飯の準備、手伝って」
「う、うん」
「今日は弥生の誕生日だからケーキもあるのよ」

そうか、今日は僕の誕生日か。

「そのペンダント、弥生へのプレゼントじゃないの?」
「誰からの?」
「神様からの(笑)」

「ただいまー。弥生、ケーキ買ってきたぞ」
「あら、私も買ってきたのよ」


笑いながらその時は終わったけど、本当に誰からのだろう・・・。




「弥生は、無事に着いたかなぁ?」
「着いたと思うよ」

中庭で空を見上げるアスク。


「本当に弥生は優しい」


マスターと誓約出来るのは1回だけ。
誓約を終え、無事にアクアにいれたら『本当の永遠の命』が与えられる。

誓約は終わった。
本当ならアスクは消滅しなくてはならない。

「アスク、弥生くんの最後の願いを聞きたいかい?」
「うん。聞きたい」

大祖母様も空を見上げながら教えてくれた。

『アスクに永遠の命を』


「これで、やっと本当のアクアの民になれる!!」
「そうだね。もう死ぬ事は出来ないよ。良いのかい?」
「・・・うん。だって、弥生から貰った新しい命だもん。大切にしないと」

私達が弥生の事を覚えていても、弥生はもう覚えていない。私や大祖母様のこと、アクアでの日々を。
でも、ペンダントだけは弥生にあげる。
弥生の為に創った物だから・・・。

「ありがとう、弥生。さようなら」




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