そのままの君で 第4話 Sweet Time

2月14日、甘い香りに起こされて俺、空馬 翔は目が覚めた。
キッチンでは柚奈がバレンタインデー用のチョコ作りをしていた。
あまりにも楽しそうに作る柚奈の姿を見て、少し話しかけ難い・・・。
「あれ?おはよう、翔。起こしちゃった?」
俺の気配を察したのか、柚奈が振り向く。
「いいや。おはよう、柚奈。邪魔したか?」
そう言いながら俺は柚奈の傍に行った。
甘い香りが部屋を包む中、柚奈のチョコ作りを俺はただただ見ていた。

「パパ、ママ?」
眠い目を擦りながら香輔も起きてきた。
「おはよう、香ちゃん」
「おはよう、香輔」
「おはよう、パパ、ママ」
そして、香輔は小棚の上に置いてある香介の写真立ての前にちょこんと座る。
「おはよう、香介お兄ちゃん」
これは香輔の日課である。朝起きてすぐに「おはよう」と言い、夜寝る前に「おやすみなさい」と言う。
俺達が教えたことではない。
でも、香輔の日課を見ることが俺達の日課であり、幸せな時間だ。


その日の夜、夕食を食べ終わると、柚奈が朝作っていたチョコを持ってきた。
「生チョコとクッキー食べたい人ー!」
「はーい!」
目をキラキラさせながら香輔が元気よく手を挙げる。
この微笑ましい空間がいつまでも続くよう、俺は香介の写真立てを見た。


あれから1ヵ月後の3月14日。
俺と香輔はキッチンでチョコ作りの真っ最中。
「パパ、甘い匂いするね」
「そうだな。いい匂いだな」
俺達が作る姿を柚奈は幸せそうに笑顔で見つめていた。


夕食を食べ終わると、香輔が冷蔵庫にあるチョコを持って来て、テーブルに置いた。
「ママ、パパ、出来た!」
「本当だ!美味しそうだね!!」
「ちゃんと作れたな!」
初めて料理をする香輔の為に、【チョコレートを湯煎にかけ、溶かす。型に入れ、ナッツを添え、冷蔵庫で固める】という簡単に作れるものにした。


柚奈への初めてのホワイトデーに、俺と香介もこの作り方で同じものを作った。
だからというわけではないが、それでも香輔にも、これを作ってもらいたかった。
そして、それを柚奈に食べてもらいたかった。
あの日と同じ笑顔で・・・。
これからも、柚奈らしく、そのままの君を見続けて、見守りたい。
それが、俺と香介が交わした約束だから。

「美味しいか、柚奈?」
「ママ、美味しい?」
「うん、美味しい!!ありがとう翔、香ちゃん」

甘い香りに包まれながら、俺達は幸せなひと時を過ごした。



ホワイトデー小説でーす!!
2月の段階で小説が完全に完成したという奇跡が起こりました(笑)
『そのままの君で』シリーズを久しぶりに書きました!
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