朱き桜 第3話 蒼の記録書

これは、朱き桜後の話です。
前作がまだな方は、そちらも読んでみて下さい。


「蒼、少し休憩を・・・」
茶と茶菓子を持ち、本の整理をしている蒼の部屋を訪ねたが、蒼の姿は無かった。
机の上に茶と茶菓子を置いた時、『記録書』と書かれた複数の冊子に目を留めた。

「麗様、どうなされたのですか?」
「勝手に入ってごめんなさい。茶と茶菓子を持って来ただけなの」

そう言い、机から離れた。

「そうだったのですか。ありがとうございます」

蒼は本の山を退かした。

「麗様さえ宜しければ、此処に居てくれませんか?」

(特に用は控えてないし・・・。)
「良いけど、私が居て、邪魔にはならない?」
「邪魔になどなりません。寧ろ、居て下さると助かります」

(助かる?)


机の周辺を少し空け、用意された座布団に、私は座った。
机上に置かれた記録書が尚も気になる。

「お付き合い下さってありがとうございます。気になる書物がありましたら、自由に読んで下さって構いません」

最初は外を眺めていたり、蒼の様子を見ていた。
しかし、机上にある記録書がやはり気になる為、手に取り、読んでみた。


記録書は、蒼がこの屋敷に来て、勉学を教わり、日々の出来事などを書き記した物だった。

『きょうからしぎけでくらす』
両親を早くに亡くし、孤児だった蒼を、御父様が養子として紫祇家に迎え入れた。

最初の頃は平仮名だけ、少しずつ漢字が増え、読んで行くに連れ、蒼の成長と性格、感性などが見えてくる。

『仁さまと、刀のけいこをした。仁さまはとてもお強く、まけてしまった。――』

『麗様がお生まれになった。小さく、とてもかわいらしい。――』

『守人として、仁様に御仕えすることとなった。日向様には、月葉様が御仕え下さる――』

私が知らないことも多々あり、とても新鮮で興味深いものばかり。


「・・・様。麗様?」
「えっ・・・?」
気が付くと、本の整理が終わっていた。

「本の整理、終わりましたよ」
「おっ・・・、お疲れ様です」
私は読んでいた記録書を咄嗟に閉じた。

「麗様が居て下さった御陰で作業が捗りました」
「私は、ただ居ただけよ」
(だから、居てくれると助かるって言ったのね)

「記録書を、読んでいたのですね」
「ええ。ずっと、机にあったから気になって。でも、ごめんなさい。許可を得ず、読んでいて・・・」
「いいえ、構いません。隠すことでもありませんので」

蒼は本当に気にしていない様子だった。
いつものように優しい笑顔。


ふと、外を見ると夕暮れ時になっていた。

「蒼、麗様。落ち葉で焼き芋を作りましたので、縁側に来て下さい」
「はーい!」
月葉のお誘いに私は笑顔で応じた。

私はすぐさま立ち上がり、蒼の手を引き、月葉と共に縁側へ向かった。


蒼は今日のことを、どのように記録するのだろう。
楽しいことも、辛いことも、これから先の数多の出来事を、どう捉え、記録するのだろう。



今回は蒼のお話。
今作の内容は、少し次女がモデル。
日記は書かないけど、片付けが一人だと捗らないとか、本が多いとか・・・。
最初に書きたかった設定とはだいぶ懸け離れてしまいました・・・。
でも、これはこれで良いかな。
次回作も、もう完成しているので、なるべく早くに載せる予定です!・・・たぶん。

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